自分に出来る仕事なのか、各職種の具体的な業務のイメージを持ちたいです。
こんな疑問にお答えします。
この記事でわかること
- 不動産業界の業種は大きく3つ
- 職種はそこからさらに細分化されている
- 業務が重なる職種への転職はアドバンテージ
この記事のライター
- 大卒後、現場職人からキャリアをスタート
- 転職後、マンション現場所長
- 某大手財閥ディベロッパー技術主任
不動産業界の求人でよく見る”~コンサル”とか"~マネジメント”とか名前はかっこいいですけど、実際何やってるかよく分からないですよね。
それは、その職種が不動産業のプロジェクトの具体的な業務と合わせて説明されないからです。
業務の具体的な内容がわかれば、転職活動もスムーズに行えるようになりますね。
そこでこの記事では、大手ディベロッパー社員の私が不動産業の職種について、図解でザックリ分かりやすく解説します。
5分程度で解決できるので、ぜひ読んでみて下さい。
こんな方におすすめ
- 不動産業界への就職を検討している方
- 不動産業界への転職を考えている方
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不動産業界は3種類のビジネスがある
まず、不動産業界には3つのビジネスがあります。
不動産業界の3つのビジネス
- 開発ビジネス
- 流通ビジネス
- 管理ビジネス
この3つのタイミングで収益を上げる商品が不動産です。
そしてこれら3つをまとめて不動産業界と呼びます。
この部分を理解している方は不動産業界の職種へ飛ばしてしまってOKです。
それぞれどのような業種か説明します。
開発ビジネス
これは「不動産ディベロッパー」や「ハウスメーカー」がこの不動産開発ビジネスを行っています。
具体的には
不動産ディベロッパー
- 商業開発ディベロッパー
- マンション開発ディベロッパー
- リゾート開発ディベロッパー
- 再開発・建替えなど
ハウスメーカー
- 建売戸建て住宅
こんなところでしょう。
この開発ビジネスの収入の流れは、土地を購入し、建物を建てて、売却もしくは運用して収益を上げます。
※ディベロッパーと設計事務所とゼネコンの業務の違い
赤字が責任、青字が業務を表しています。
それぞれの立場でエンドユーザーに対する責任が違います。
- ディベロッパー:販売責任
- 設計者:設計責任
- 監理者:監理責任
- 施工者:施工責任(管理責任)
この責任にしたがって、それぞれ行う業務が違います。
ディベロッパーは設計も施工もやっていませんので、そこをまずは理解しておきましょう。
流通ビジネス
これは、「不動産販売企業」と「不動産仲介企業」がこの不動産流通ビジネスを行っています。
具体的には
不動産販売企業
- 分譲マンション販売
- 投資用不動産販売など
不動産仲介企業
- 賃貸マンション仲介
- テナントリーシングなど
不動産販売企業は、ディベロッパー子会社である場合や、ディベロッパー本体で行うことも多いです。
販売業務を委託された企業は、売主からの手数料が収益源となります。
不動産仲介企業は、売主と買主をマッチングさせる業種です。
収益源は仲介手数料で、売主・買主の双方から受領できるのが販売会社との違いで、不動産の売買のほかに、賃貸借契約でも仲介手数料を得られます。
不動産の売買・賃貸借契約は法律で定められた要綱を満たす必要があり、専門的な知識が必要です。そのため「宅建士」という資格があります。
管理ビジネス
こちらは「建物管理」や「設備管理」のほか、「運営管理」なども行う会社が不動産管理ビジネスを行っています。
収入源は管理業務委託の手数料です。
マンションでいう管理費などです。
具体的には
不動産管理ビジネス
- マンション管理
- 商業施設管理
- オフィスビル管理など
管理ビジネスはストック型ビジネスと言われ、ストックが増えれば増えるほど今後も収入は安定して伸びていくビジネスモデルです。
不動産業界の職種
では実際に不動産業界の職種をご説明していきます。
3つのビジネスに沿ってご説明していきます。
求人の職種を見て、業務のイメージができるようにしましょう。
開発ビジネス
開発ビジネスが不動産業界の花形で、最も職種は多く、非常に分かりづらいです。
プロジェクトのタイムラインを見ながらどのフェーズでどの職種が関わるのかを把握していきましょう。
設計業務
設計図作成の責任を持つ業務です。
プロジェクトの企画段階から参画することもあれば、基本計画から業務委託契約をすることもあります。
具体的には、
- 法規に対応した設計
- 予算内での建物の設計
- 施主の要望にこたえた設計など
が設計業務となります。
デザイナー
設計者とは別に、建物のデザインを行うのがデザイナーです。
外観や内観のイメージ、コンセプトを表現するために材料や、建物形状の提案を行っていく業務です。
イメージは、
- 開発業者は方針を示す。
- デザイナーはそれを聞いておしゃれなデザインを作る。
- 設計者はそれを実際に作れるように、図面にする。
こんなところです。
設計コンサルタント
企画設計から実施設計までのノウハウ提供を担当する職種です。
設計ノウハウの少ないクライアントに対し、「仕様」や「商品設定」のアドバイスを行う業務。
特殊な開発案件などの設計経験がない場合などに、業務契約されるような職種です。
工事監理
工事が設計図どおり行われているかを確認する業務です。
よく施工管理と間違われていますが、立場と責任が明確に違います。
※ディベロッパーと設計事務所とゼネコンの業務の違いの図をもう一度確認しましょう。
施工管理
建物を工程内、予算内に建てるための業務です。
ゼネコンの現場監督の業務がこれに当たります。
プロジェクトマネジメント(PM)
開発のプロジェクトで収益を上げることを目的に、用地仕入れから建物の引渡しまで携わる業務です。
企業によってどこから担当するかも異なりますが、基本的にはプロジェクト全体のコストと工程の管理を担う業務です。
土地の購入の判断のために以下の業務を行います。
用地仕入れ
- 土地の調査分析
- マーケット予測
- 事業の収支組み立てなど
土地を購入したら、プロジェクトを現実のものにするために、以下の業務を行います。
事業計画
- 収支計画の精度を上げる
- 行政協議など
事業の計画が固まると最終的には以下の業務になってきます。
実施設計以降
- コストコントロール
- 工程コントロール
ザックリは以上のような業務です。
技術職ではないですが、業務の幅が広く、高いマネジメント能力が必要です。
コンストラクションマネジメント(CM)
発注者に代わって、工事に関わるマネジメント業務を行う業務です。
海外では一般的な業務で、日本ではゼネコンがこのCM業務も担っているため、あまり普及していません。
コンストラクションマネジメントは「発注者」「設計者」「施工者」の利害関係をなくし、中立的な立場で建設のマネジメントを行うことで、情報やコンプライアンスの透明性を確保できることがメリットです。
主に「工事監理」「施工管理」「プロジェクトマネジメントの施工フェーズ」について担当しますが、契約によっては、企画段階まで入り込むこともあります。
発注者の意向に沿った開発事業のマネジメントが必要で、企業規模での業務になります。
建設コンサルタント
建設コンサルタントは、発注者に対し、プロジェクトの企画・提案・技術の提供を行う業務です。
コンストラクションマネジメント(CM)と異なるのは、業務範囲と責任範囲です。
建設コンサルタントは事業計画の段階から入り最終的な建物の維持管理までサポートします。
責任範囲もCMとはことなり、あくまでも業務の委任はされておらず、発注者の意思決定に対するコンサルを行う業務です。
これも企業規模での業務になります。
アセットマネジメント
アセットマネジメントは投資家(個人・法人)の不動産投資に関わる資産管理を代行して行う業務です。
不動産開発においては、用地仕入れ時の投資判断から物件の運用を行い、その収益の管理を行います。
技術の知識が入る分野ではありません。
流通ビジネス
流通ビジネスは不動産業界でも一般的に認知度の高いビジネスです。
求人サイトでも想像しやすい業務ですが、確認していきましょう。
販売
ディベロッパーの開発した物件の販売を委託される業務です。
顧客との接点があり、不動産の高い知識を持った接客業といったイメージです。
エンドユーザーの顔を見て仕事をしたい方には向いているでしょう。
仲介
賃貸物件の貸主・借主、売買物件の買主・売主をマッチングする業務です。
販売と同じく接客業ですが、販売ほど仕事のハードルは高くなく、未経験でも出来る業務です。
管理ビジネス
ストックが増え続けている現在は、管理ビジネスは今後も伸び続けるモデルです。
プロパティマネジメント(PM)とファシリティマネジメント(FM)
建物の維持管理と運用を所有者に委託される業務です。
ハード面の知識も必要ですが、テナントリーシングなどのソフト面の知識も必要になります。
PMとFMの違いは、PMがより不動産の収益性に焦点を当てるのに対し、FMは施設の設備関係のランニングコストに焦点を当てる部分です。
施工管理経験者におすすめの不動産業の職種
私が施工管理経験者におすすめする不動産業の職種は1つです。
施工管理経験者におすすめしたい不動産業の職種
- プロジェクトマネジメント(PM)
プロジェクトマネジメントの業務は先ほど説明したとおり、最終的にはコストと工程のコントロールです。
しかも、PMが大きく関われるコスト要素は"工事費”です。
つまり、施工管理がこれまでやってきた原価管理の幅を少し広げるだけで成果を出せます。
コストと工程の業務の比重が増える分、品質管理・安全管理の比重が小さくなるイメージです。
本当にプロジェクトマネジメントは施工管理経験者におすすめですね。
特に20~30代の方。
そこに現場経験者来れば成果はすぐ出ます。
今までの施工経験をいかせて、生活も整う仕事に付くチャンスが上記の職種にはありますね。
しかも発注者側になるので、キャリアアップにも年収UPにもなります。
ぜひチャレンジしてみて欲しいです。
不動産業界の職種|まとめ
この記事の内容を要約します。
この記事の要約
- 不動産業の仕事は「開発」「流通」「管理」
- 開発の業務は多岐にわたる
- それぞれの業務領域に重なる要素があれば転職にも有利
こんなところですね。
各職種は不動産業における様々なフェーズに関わっています。
自身の仕事がそのフェーズに重なる要素があれば転職でも十分なアドバンテージがあります。
業務の範囲を知れば転職活動でも希望の職種を探しやすいですね。
一度、気になる求人があるかどうか確認してみてはいかがでしょうか?
最後に私も転職時に利用した、おすすめの転職エージェントを紹介した記事を置いておきます。
建設不動産業で隠れブラック企業が多いので、転職を失敗しないためにもエージェントから情報をもらっておいた方がいいですよ。
転職エージェントの選び方はこちら
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