不動産業界の転職

不動産営業への転職|賃貸と売買どちらがよいの?今後の動向とウラ側を解説

不動産営業への転職|賃貸と売買どちらがよいの?今後の動向とウラ側を解説
不動産業界に転職したいんだけど、賃貸と売買どちらがよいのか悩んでいます。

出来れば、長く安定してそこそこ良い給料で働きたいのが本音です。

こんな疑問にお答えします。

 

この記事でわかること

  1. 賃貸がよいか、売買がよいか
  2. 賃貸と売買の業界の動向
  3. キャリアを考えたおすすめ職種

 

この記事のライター

  • 大手財閥ディベロッパー技術主任
  • 一級建築士
  • 一級施工管理技士
  • 宅建士

 

不動産営業に転職しようとする方で、賃貸か売買どちらの職種が良いのか悩む人は多いです。

 

その原因は、

売買は「高年収だけど不安定」

賃貸は「安定だけど低年収」

と、両極端な判断をしようとしているからです。

 

せっかく不動産業界に転職するのなら、「安定してよい年収で働ける職種」かつ「これまでのキャリアを活かせる職種」があればその方がよいですよね。

 

そこでこの記事では、「不動産営業の賃貸と売買はどちらがよいのか」「他の職種への転職も可能なのか」を大手ディベロッパー目線での今後の業界動向も含めて解説していきます。

 

5分程度で読めるので、ぜひ読んでみて下さい。

 

こんな方におすすめ

  • 不動産業界に転職を考えている
  • 賃貸と売買の違いを詳しく知りたい
  • 安定してよい年収で働ける不動産の職種を探している

 

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不動産営業に転職するなら賃貸と売買どちらがよいの?

不動産営業に転職するなら賃貸と売買とどちらが良いの?

結論からいうと、どちらでもOKです

 

理由はどちらもメリット・デメリットがあるからです。

 

ただしこの2択を考えるには、個人向け営業・法人向け営業も考える必要があります。

 

不動産営業に転職するなら賃貸?売買?

  メリット デメリット
個人 売買
  • 高年収も実現できる
  • 歩合給で生活が安定しない
賃貸
  • 未経験でも可能
  • プレイヤーとして長く働けない
法人 売買
  • キャリア形成につながる
  • ハードルが高い
賃貸
  • 汎用性の高い知識が身に付く
  • 仕事は忙しい

こんなところでしょうか。

 

基本的に、長く安定して稼ぎたいというのであれば、法人営業をおすすめします

 

とはいえ、どの職種もメリットデメリットがあるので、ひとつずつ説明していきます。

 

個人売買営業のメリット・デメリット

個人売買の営業は高年収を狙えるのがメリットです。

 

歩合給であることが多く、売買実績を上げていけば年収1000万~2000万も可能です。

 

しかし、歩合給であるために収入が安定しないのはデメリットです。

 

そしてここだけの話、個人向け売買は結構グレーな企業も多いです。

 

とにかく「儲けるために売る」と言うことに焦点が当てられていて、売上至上主義だったりします。

 

「売れない社員は不要」の意識もあり、ちょっとギスギスした世界ですね。

 

個人賃貸営業のメリット・デメリット

個人向け賃貸営業は未経験でもすぐに始められるのがメリットです。

 

宅建士の資格がなくても出来てしまいます。

重要事項説明は宅建士が必要

 

収入も歩合の割合は低いため、社員であれば収入は比較的安定します。

 

ただし、プレイヤーとして長く働けないのがデメリットです。

 

理由は、「収入が低い」「未経験の若手でも出来る仕事」という面でキャリアにならないので。

 

年収はおよそ300万~600万。

 

よこてん
有名な不動産さんの窓口を見ても、若い子ばかりですよね。そういうことです。

 

法人売買営業のメリット・デメリット

法人売買営業はキャリア形成につながるのがメリットです。

 

そもそも法人売買営業は、企業の持つ不動産(オフィス・倉庫・商業施設など)の売買を仲介する仕事。

 

法人の不動産は、企業経営に関わる重要な資産で、その企業資産を不動産のプロとしてコンサルティングするのが法人営業です。

 

求められる知識は多岐にわたり、「税」「法律」「会計」などの知識や、高いディレクションスキル(まとめる力)が必要になります。

 

ただ、未経験から始めるにはハードルが高いのはデメリットです。

 

法人賃貸営業のメリット・デメリット

法人賃貸営業は汎用性の高い知識が身に付くのがメリットです。

 

法人賃貸営業のイメージは、オフィスの賃貸をイメージしてもらえばいいでしょう。

 

企業のオフィスは、単なる「仕事場」から「企業ブランディング」として活用したいニーズも多く、そうした社会動向に合ったコンサルティングが法人賃貸営業には必要です。

 

各企業の「働き方」や「戦略」に沿った形で「商品」を提案していく力は、キャリア形成においても有利ですね。

 

ただ、多面的な分析と提案を繰り返す必要があり、調整がとても忙しいのはデメリットです。

 

賃貸と売買と仕事の内容はどれだけ違う?

賃貸と売買の仕事内容はどれだけ違う?

では具体的に賃貸と売買の仕事の違いは何かをご説明します。

 

個人向け売買と賃貸の業務の違い

個人向けの売買仲介業務は主に以下のような内容になります。

売買仲介

  • 広告出向
  • 物件収集(レインズ利用)
  • ローン審査
  • 銀行・司法書士の調整
  • ほか

 

それに対し、個人向けの賃貸仲介業務は主に以下のような内容ですね。

賃貸仲介

  • 物件掲載
  • 問い合わせ対応
  • 内見案内
  • ほか

 

見ただけでも、業務は全く違いますよね。

 

特に売買はほとんどの場合で住宅ローンを組むため、ローンをスムーズに下ろすための業務は必須になります。

 

他にも所有権移転も絡むことから、登記に関わる業務も発生します。

 

法人向け売買と賃貸の業務の違い

法人向けの売買仲介業務は主に以下のような内容になります。

売買仲介

  • デューデリジェンス
  • マーケット分析
  • ファンド・リートへの営業
  • 調査・申請
  • 不動産戦略の提案
  • リースバック斡旋
  • ほか

 

それに対し、個人向けの賃貸仲介業務は主に以下のような内容ですね。

賃貸仲介

  • 物件掲載
  • 問い合わせ対応
  • 移転計画
  • 物件提案
  • 賃貸借契約・保障会社斡旋
  • ほか

 

こちらもやはり、業務は全く違います。

 

売買の場合は企業の経営に大きく関わることから、企業会計や税制、法令、特例などに関わる業務あります。

 

特に、税理士や弁護士などとの協業も発生するのが特徴です。

 

売買と賃貸の業務の違い|まとめ表

賃貸と売買の業務の違い

    売り(貸し)側 買い(借り)側
個人 売買
  • 広告
  • 営業
  • ローン審査ほか
  • 物件調査
  • ローン審査
  • 銀行、司法書士調整ほか
賃貸
  • 物件掲載ほか
  • 問い合わせ対応
  • 内見ほか
法人 売買
  • デューデリジェンス
  • 戦略提案ほか
  • ヒアリング・プラン提案
  • マーケット分析・物件調査ほか
賃貸
  • 媒介契約
  • 契約調整ほか
  • 物件調査・提案
  • 保障会社斡旋

こんなところでしょうか。

 

不動産業界の動向としては賃貸と売買はどちらがよいか

不動産業界の動向としては賃貸と売買はどちらがよいか

ではディベロッパー社員として、不動産業界の今後の動向をどう見ているか、ご説明します。

 

結論から言うと、不動産業界の先行きは不透明です

 

近年では「職住近接」を正とする価値観を前提として、都心への人口集中が過熱していました。

 

またオリンピック特需もあり、都心の不動産価格が高騰

 

グロス圧縮(面積を小さく)したプランが活況で、賃貸では1Rや1LDK、売買では50㎡~60㎡台のファミリータイプが活況でした。

 

しかし、現在は新型コロナウィルスで「働き方」に対する価値観の変化が進んできています

 

つまり、「職住近接」を正とする価値観から、「職住一体」や「職住融合」として「生活スタイル」に重きを置く価値観への変化です。

 

これまで、通勤利便性と生活環境の快適性がトレードオフの関係だったことから、生活も仕事も両立する選択をする人が増えてくるはずです。

 

よこてん
イメージとしては、社会全体が「集中」「集約」の方向から「分散」「開放」へと向かっている感じですね。

 

そのため、今後も都心への集中が続くのか、それとも郊外へ広がっていくのか、不動産業は先行きが不透明です。

 

では、こうした状況の中、転職の際には賃貸と売買はどちらがよいのかをご紹介します。

 

個人賃貸業界の動向

個人向け賃貸は短期で見れば需要は伸びる可能性があるものの、その後は市場のパイは減る可能性があります。

 

テレワークをきっかけに引越しを検討している人は多く、2019年11月に実施されたテレワークに関するアンケート調査によると、53%もの人が引越しを検討しているそうです。参考

 

短期的に見れば、テレワークや新しい働き方の実施により人の動きはありそうです。

 

しかし人が移動した後、場所に縛られない働き方する人々が増えると、業務での転勤や引越しは減りますし、移住した後はその土地に定住する可能性も高い。

 

また、そもそも人口の減少から市場のパイは徐々に減っていく可能性もあります。

 

法人賃貸業界の動向

法人賃貸は個人よりも安定はしているでしょう

 

しかしオフィスを例にすれば、業界の景気は落ち込む可能性もあります

 

新しい働き方が推奨されてきている現在では、これまで通りの労働集約型の働き方を前提とするオフィスは厳しい。

 

テレワークが普及し、オフィスを必要としない企業が増えればオフィスには空室が出てくるはずです。

 

つまり、今後オフィスの在り方が変わり、単なる仕事場よりブランディングの装置としての役割が大きくなることも考えられます。

 

個人売買業界の動向

個人売買については、これまでのように稼ぐことは難しいです

 

そもそも個人売買の業界はすでに下火にありました。

 

都心では不動産価格が高騰しすぎて、とても手の出せない金額まで跳ね上がっていましたし、個人の購入意欲も以前ほど高くなく、売買は難しい状況です。

 

一昔前のように、「ノルマ達成で年収1500万」のような世界は今は多くありません。

 

今後も人口減少に伴い、過剰ストックの売れ残りが出てくるはずです。

 

法人売買業界の動向

法人売買については、短期的に伸びる可能性はあります

 

現在は新しい働き方へのシフトに伴い、企業の経営戦略にも変化が出てきています。

 

その中でも、保有不動産の見直しや、保有リスクの軽減、財務体質の改善といった需要が生まれ、CRE(企業不動産)戦略上、自社の不動産を売却する企業もあります。

 

よこてん
ただし、買い手側の投資意欲は下がっているため、企業同士の売買仲介は買い手がなかなか付かないこともあるはずです。

 

あくまで、CRE戦略において保有資産の軽量化等を図りたい企業の、リースバックを主とした市場は注目できそうです。

 

不動産の賃貸と売買Q&A

賃貸と売買Q&A

賃貸と売買ではどちらがキツイですか?

場合によりますが、売買はきついです。売れない・買えない・ノルマ高いの3拍子です。

賃貸は賃貸で給料低いし、個人向け賃貸ではキャリアにならないので、そこはそこでキツイですね。

 

まずは賃貸から。スキルアップして売買へ転職。このプランは良いですか?

法人ならOK。個人ならNGです。ご説明したとおり、業務内容は全く違うので、目指す職種が決まっているなら直接挑戦していった方が良いです。

 

不動産営業に求められる資格はありますか?

必須は宅建士、FP技能士。そのほか、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、マンション管理士、不動産鑑定士、など

 

物件の初契約はどれくらいで取れますか?

人によりますが、売買の場合5ヶ月目~8ヶ月目などでしょう。長ければ1年以上取れない人もいます。

賃貸の場合は1ヶ月目~3ヶ月程度でしょう。

 

安定・高年収の不動産営業なら法人営業がおすすめ

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安定して長く働きたいなら、法人営業に挑戦するべきでしょう

 

法人営業は業務や採用のハードルも高いですが、個人向けの営業では成し得ない、安定・高年収を実現でき、キャリアを積めます。

 

また法人相手なので、業務時間も比較的よくライフワークバランスが整いやすいのも魅力です。

 

ただし正確な情報は自分で探すより、転職エージェントからもらった方が良いでしょう。

 

中には隠れブラック企業も混じっているので、自分だけで情報収集すると失敗する可能性も有ります。

 

また、特に法人売買の募集は非公開求人であったりしますので、その場合は転職エージェントに登録しないとそもそも応募できません

 

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不動産営業への転職は賃貸と売買どちらがよいの?|まとめ

不動産営業への転職は賃貸と売買どちらがよいの?|まとめ

この記事の内容を要約します。

この記事の要約

  • 不動産業に転職するなら売買も賃貸も一長一短
  • ただし、おすすめは法人営業
  • 賃貸と売買で業務は全く違う
  • 法人と個人でも求められるスキルは全く違う
  • 業界動向としてはどこも厳しい
  • 法人営業は安定・高年収

こんなところでしょうか。

 

賃貸か売買かという選択肢で考えてしまうと、「長く安定して働く」といのは難しいでしょう。

 

長く安定して高年収で働け、キャリアアップしていける職種を選ぶのであれば、少し視野を広げてみてもよいと思いますよ。

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