目次
キャリアアップはしたいけど、ブラックな環境はちょっと…
ゼネコン正社員との違いも比較して判断したいです。
こんな疑問にお答えします。
この記事でわかること
- 建設・不動産業界キャリア14年
- 元職人、元施工管理所長、元財閥系デベロッパー(転職3回)
- 一級建築士・一級建築施工・宅建士ほか
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この記事では、業界で13年のキャリアがある元施工管理所長が「施工管理の派遣をやるかどうか」その決断の助けになるような、派遣施工管理のメリット・デメリットやゼネコン正社員との比較について包み隠さず解説していきます。
働き方が変わりつつある昨今、施工管理の派遣を検討している人は多いです。
ただ、”派遣”と聞くと、雇用が安定せず、労働条件が良くないのでは?と敬遠してしまう人もいます。
しかし、派遣施工管理は、生活を改善したり、新たなキャリアを積もうとしている人には大きなメリットがある仕事です。
もちろん、派遣施工管理にもデメリットはあります。
ぜひこの記事を読んで、派遣施工管理として働くことを、”現実的な視点で”検討していきましょう。
こんな方におすすめ
- 未経験からキャリアアップしたい方
- ホワイトな施工管理で働きたい方
- ゼネコン正社員と比較して考えたい
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派遣の施工管理とは?
そもそも派遣施工管理とは、雇用元の派遣会社に就職し、そこから派遣先の建設会社などで働く雇用形態のことです。
多くの施工管理は、働き先のゼネコン等と直接雇用契約を結びますが、派遣の場合は派遣先の企業とは雇用契約を結びません。
そのため、派遣先で働いていても、給与や福利厚生などの条件は雇用元の派遣会社との契約内容に従うことになります。
建設業界は近年のオリンピック特需や人材不足もあり、派遣施工管理の需要は高い水準を維持しています。
特に、施工管理においては現場毎に派遣先される特徴があり、ひとつの派遣先に留まらずに様々なゼネコンの現場で働くことも可能です。
建設業界は今後もなくなることはありませんし、フリーランスなどのひとつの企業に縛られない働き方が現実的になってきている今、”派遣”施工管理はキャリア自由度の高い働き方としても選択の一つとなっています。
信じてはいけない”派遣施工管理のメリット”
派遣施工管理はキャリアの選択肢として人気がありますが、派遣施工管理の情報を調べるときには十分な注意が必要です。
もし「派遣施工管理のメリット」として次のような情報があった場合は、決して鵜呑みにしないようにしてください。
その理由は、実情に合っていない情報も多いためです。
例をいくつか上げてみます。
信じてはいけないメリット
- 派遣施工管理は人脈が広がる
- 派遣施工管理は自分の仕事に没頭できる
- 派遣なので会社のしがらみから解放される
- 派遣で自分の知らなかった強みを発見できる
- そもそも、"人脈"は仕事してれば自然と広がります。派遣じゃなくてもゼネコン社員でも広がります。
- 派遣の施工管理だけが自分の仕事に没頭できるなんてのは、幻想です。
着工から竣工まで一人で現場をこなせて、よほど信頼されている人でない限り、自分の仕事だけに没頭など出来ませんし、そんな現場は極めて少ないです。また、
- 会社のしがらみより派遣先の人間関係の方がストレスに直結します。
大事なのは職場の人間関係で、会社のしがらみなど大して関係ありません。ゼネコン正社員も派遣施工管理もほぼ同じ環境で仕事をしますので、派遣先が自分に合っているかどうかの方が重要です。さらに、
- "自分の知らなかった強み"は、派遣施工管理でなくても何か新しいことが自分に合っていると思えれば、見つけることができます。
このように、実情にそぐわない中途半端な情報も多くあるため、十分に注意してください。
しっかり本当のメリットとデメリットを理解して派遣施工管理を始めるか判断していきましょう。
派遣施工管理の本当のメリット5選
では派遣施工管理の本当のメリットは何なのでしょうか?
現実的な視点で解説していきます。
①ライフスタイルに合わせて働きやすい
派遣施工管理として働くメリットは、自分のライフスタイルに合わせて現場を選択できる。ということです。
建設会社の正社員の場合、配属先の現場を選ぶことはほぼ不可能ですが、派遣施工管理の場合は、希望する条件の現場に配属してもらえる可能性も高いです。
プライベートな時間を確保しつつ働きたい方には、正社員より働き方に自由が効くという点で、派遣施工管理にメリットを感じられるケースが多いです。
②未経験者のキャリアの入り口になる
建設業界は慢性的な人手不足です。そのため、派遣施工管理は未経験者の募集も多く、未経験者を受け入れる体制を整えている企業も多くあります。
特に派遣施工管理の企業では、現場配属前に未経験者へ1ヶ月程度の研修を設ける企業が多く、建設業界の経験がない人でも、仕事を始めやすい環境と言えます。
ただ、注意すべきなのは、研修だけでは現場業務をこなすのは難しいという点です。
未経験の場合、派遣先の企業で仕事をしながら実務を学んでいく必要があります。
それでも正社員よりキャリアを始めやすい点で、派遣施工管理は未経験者には大きなメリットと言えます。
③派遣の中では高収入
派遣施工管理は、他の派遣と比較して収入の相場が高いです。これは、業界全体の収入相場が高いためで派遣の施工管理でも高収入になる傾向があります。
未経験でも経験を積めば年収も上がりやすく、年収900万円以上になる場合もあります。
他の派遣の場合は、正社員と比較して給与が劣るのが一般的ですが、派遣施工管理の場合は派遣先の正社員と同等か、それ以上の給与になることも多いです。
この収入の高さも派遣施工管理のメリットの一つです。
④多様な工事を経験できる
派遣施工管理は多様な工事と工法を経験できるため、幅広い知識・スキルを習得しやすいです。
派遣施工管理は配属される現場の契約期間が終われば、次の現場へ移動となります。
この契約期間に対してネガティブなイメージを持つ方も多いですが、派遣施工管理の場合は「竣工」や「上棟」を契約期間の区切りとすることが多く、半端なタイミングで現場を移動することは少ないです。
そのため、配属先の現場でしっかり経験を積むことが可能です。
また派遣施工管理の場合、現場の移動では企業もまたぐことになるため、特定の企業の特定の人からの偏った指導ではなく、多様な技術やノウハウを学びながら、スキルアップを図ることもできます。
これは派遣施工管理だけのメリットになり、次のステップアップの際には、選択肢の幅も広がります。
⑤正社員登用される可能性がある
派遣施工管理では、配属先の企業にそのまま正社員として引き抜きの話をもらえることがあります。
例えば、ゼネコン大手のスーパーゼネコンや準大手に派遣から転職している人もいます。
これら就職の難しい企業に入るチャンスがあることは、派遣施工管理の大きなメリットです。
もちろん、必ずしも引き抜きの話があるわけではありません。配属先の現場で成果を出し、社内の人間関係も含めて評価を得る必要があります。
正社員登用を目的に派遣施工管理になることはナンセンスですが、建設会社へのステップアップ転職を目的として派遣施工管理を考える場合は、非常に大きなメリットです。
10年後には消える?!施工管理の派遣の3つのメリット!
派遣施工管理も良いことばかりではありません。今現在は得られるメリットでも、いずれは消えてしまうメリットもありますので、解説します。
2021年現在の建設業は転換期を迎えています。
2012〜19年までの8年間、復興・オリンピック需要もあり好況が続きましたが、今後はどうなるかはわかりません。
これを計るのは建設会社の「手持ち工事高(受注しているものの、工事に未だ着工していない案件の額)」です。参考:建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)国土交通省
手持ち工事高は毎年平均4.9%の増のペースで膨らんできていました。しかし、20年3月からは10ヶ月連続で減少し、全体としては緩やかに減少しています。
今後数年は建設業界はまだ好況を維持するでしょうが、建設特需が落ち着いた今、いずれは各建設会社の手持ち工事が消化されます。
そこで、建設業界の好況が終わった際に注意すべき、派遣施工管理のメリットについて紹介します。
派遣施工管理の将来
- 条件の良い現場を選べなくなる
- 残業は必要になる
- あとから始めるほど給料が上がらなくなる
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施工管理の将来性は?最新の動向・展望を解説|おすすめの施工管理の始め方も
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参考施工管理の将来性は?最新の動向・展望を解説|おすすめの施工管理の始め方も
①条件の良い現場を選べなくなる
いずれ施工管理の派遣は、希望の現場を選ぶことは難しくなります。
その理由は3つ。
現場を選べなくなる理由
- 建設業界の景気低迷
- 施工現場数の減少
建設業界の景気はすでに後退し始めているのは先に説明したとおり。
【新型コロナウィルス】建設業界ではボーナスカット?!リーマン並の不景気もも参考に読んでみてください。
大手ゼネコンの20年3期の売上は軒並み減少。21年3月期も大幅減少しました。
オリンピック特需を含めた建設市況のバブルはコロナも相まって、突如終焉を迎え状況です。
そこで今後予想されるのは、建設現場数の減少。
現場の数が減れば、派遣の施工管理が現場を選ぶことは難しくなっていくでしょう。
現在は手持ち工事高も多くあるため、施工管理未経験でもキャリア形成のチャンスが豊富です。
しかし、時間が経てば経つほど今よりチャンスは減っていくので、現在のような良い条件でキャリアを始められるのは期間限定と考えたほうが良いでしょう。
②残業は必要になる
現在は、派遣施工管理は残業をしなくても良い現場もあります。
しかし手持ち工事高がなくなる頃には、残業なしで帰れる現場は少なくなるでしょう。
現在は派遣施工管理の給料も高く、派遣施工管理に長時間残業をさせるのは得策ではありません。
そのため、派遣施工管理は比較的ワークライフバランスは整えやすい職種となっています。
しかし、建設業界の好況が終われば状況は変わります。
将来考えられるのは、派遣施工管理に現場を任せ、ゼネコン本体社員は計画業務などの上流工程を行う分業制です。
そのためのリモート技術や建設IT技術なども含めて、業務効率化が急速に進んでいます。
すると、「現場を定時で上がります。」というわけには当然行かなくなり、派遣施工管理も残業が必要になってくる。と言う事です。
③あとから始めるほど給料が上がらなくなる
給料面で言うと、あとから始めるより今から派遣施工管理を始める人の方が、断然有利です。
理由は、先に説明したとおり、建設業の景気は転換期にあるからです。ゼネコンの仕事が減って売上も落ち始めています。
仕事も減って利益も減れば、経費削減が必須となり、削減対象になるのが派遣の施工管理の契約です。
そのため、派遣会社の売上も減少していきます。その結果、派遣会社からの給料も上がらなくなっていきます。
今後を見通すと、実は今が1番条件よく派遣施工管理を始められるタイミングと言えます。
施工管理派遣の3つのデメリット
ワークライフバランスも整えやすく、給与面でも高い傾向のある派遣施工管理は、理想的に思えますが、もちろんデメリットもあります。
派遣施工管理になる前にメリットと合わせて知っておきましょう。
施工管理派遣のデメリット
- 責任のある重要な業務は任されにくい
- 配属期間が限定されている
- 福利厚生で正社員に劣ることがある
派遣施工管理のデメリット①責任のある重要な業務を任されにくい
施工管理の派遣で責任ある重要な業務を任されることは少ないです。
その理由は、ゼネコンが派遣施工管理を雇う主な目的が、「正社員の支援」だからです。
重要な業務とは、施工計画を練ったり、業者と取極め金額の交渉をしたりなどの上流の仕事です。
派遣の施工管理に任されるのは、主に現場の検査や職人への指示出しです。
重要な業務を任されて、成果を上げられれば、自身のキャリアにも大きなプラスになりますが、派遣施工管理ではそういった活躍の機会を得るのはゼネコン正社員と比較すると少ないです。
キャリアアップを望むのであれば、派遣施工管理として身につけたスキルと経験を武器に正社員に転職するのがおすすめです。
派遣施工管理のデメリット②配属の期間が限定されている
派遣施工管理の配属の期間には制限があります。
派遣の配属期間は最大でも3年です。これは、平成27年の派遣法改正により、派遣の雇用期間の上限が3年までに設定されたためです。
つまり、派遣施工管理は3年以内に別の派遣先企業へ移動することになります。
現場や環境が変わることで、次々と新しい経験を積めるメリットはありますが、新しい仕事に慣れたり、一から人間関係を作ることにストレスを感じる人もいるでしょう。
自分に合った現場に配属されたとしても、いずれはその環境を離れる必要があります。
派遣施工管理のデメリット③福利厚生で正社員に劣る場合がある
派遣施工管理は配属された現場で働いてはいますが、その現場の正社員が適用される福利厚生は適用されないことがほとんどです。
それは、派遣施工管理の雇用元は派遣会社だからです。
交通費・備品費・休暇制度や手当など、同じ環境で同じ業務をしているにも関わらず、配属先の正社員とは待遇に差が出ることもあります。
派遣施工管理とゼネコン施工管理(大手・中小)の比較
では、派遣施工管理よりゼネコン正社員の方が良いか?というと、そうとも言い切れません。
建設会社も待遇に関してはピンきりで、ゼネコン正社員の施工管理になるよりも派遣施工管理の方が条件が良いケースもあります。
それぞれの特徴を確認しつつ、比較していきましょう。
派遣施工管理はワークライフバランスの確保がしやすいことや、未経験者への研修、派遣先への引き抜きもあるため、新たにキャリアをスタートしたいけど不安がある。という未経験者には始めやすい仕事です。
正社員であれば、やはり雇用期間・責任ある業務の経験・給料やその後のキャリアについては、大手ゼネコンが良いです。中小のゼネコンも雇用期間・業務経験の面ではキャリア経験としては良いでしょう。
個人的におすすめなのは、まずは大手を目指すこと。大手への入社が難しい場合は、派遣から始めて大手への転職を目指すと良いでしょう。
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施工管理派遣はゼネコン正社員への良いステップ
人により感じ方は違いますが、派遣施工管理の最大のメリットは、自分に合ったゼネコンを探せることです。
通常、正社員としてゼネコンへ入社する場合は、現場の内情や人間関係は全くわかりません。
ここで失敗して施工管理を辞めていく人は多くいます。
しかし、派遣の場合は合わなければ別の現場へ移動するだけですし、会社を辞めたり転職することなく、環境を変えることができます。
未経験で施工管理を始めるのに不安を持つ方には、ゼネコン正社員への良いステップになるでしょう。
決して、いくつもの現場を自由に移動できる。と言うわけではないですが、派遣で複数の現場に入ることは派遣施工管理にもゼネコンにもメリットがあります。
ゼネコンと派遣のメリット
- 派遣施工管理:派遣先ゼネコンの環境や内情を知れる
- ゼネコン:派遣施工管理が社員として採用できるか判断できる
これは双方にとって大きなメリットになります。
派遣施工管理は、ゼネコンに転職する前に現場に入れるので「こんなはずじゃなかった」を回避することができますし、
ゼネコンは、現場での試用期間(雇用している期間)を経て採用することができるので、非常に低リスクで人材採用ができます。
つまり、気に入るゼネコンを探して転職するチャンスを掴みたい人は、派遣施工管理はおすすめです。
\ 未経験からの転職のコツ /
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【完全版】未経験でも施工管理に転職できる?今からでも狙えるキャリアチェンジと条件UP
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施工管理の派遣のメリット|まとめ
ではこの記事のポイントをまとめします。
まとめ
ライフスタイルに合わせて働きやすい
未経験者のキャリアの入り口になる
派遣の中では高収入
多様な工事を経験できる
正社員に引き抜かれる
自分に合ったゼネコンを見つけられる
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。施工管理の派遣を始められそうでしょうか?
施工管理の志望動機の書き方などは、施工管理の志望動機の書き方|テンプレと例文で面接もOK【新卒・転職】でも紹介しています。
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基礎からわかりやすく解説しています。
施工管理のキャリアに挑戦するなら、ぜひ派遣も一つの選択肢にしてみてください。
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