目次
大手ゼネコン(施工管理)の仕事内容って他と違う?
ハウスメーカーの施工管理とスキルやキャリアは違うの?
大手施工管理の年収や仕事のキツさも知りたいし、大手施工管理の特徴を教えてください。
こんな疑問にお答えします。
この記事でわかること
- 大手ゼネコン(施工管理)の特徴
- 中小ゼネコン(施工管理)との違い
- ハウスメーカー(施工管理)との違い
- 建設・不動産業界で14年のキャリア
- 不動産ディベロッパー建築部門主任
- 転職3回(元職人・元ゼネコン所長)
- 一級建築士・一級建築施工管理・宅建士ほか
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大手ゼネコンの施工管理の仕事内容は他の仕事と比べて特別なものだと思っている人は多いです。
しかし、大手ゼネコンであっても中小のゼネコンであっても施工管理の仕事は同じです。
違うところは施工管理の仕事内容以外にあります。
この記事を読めば、”大手ゼネコンの施工管理の仕事の特徴”から大手以外のゼネコンやハウスメーカーの施工管理の長所・短所までがわかります。
大手ゼネコン(施工管理)に就職・転職を検討している方には有益な情報ですので、ぜひ参考にしてください。
こんな方におすすめ
- 大手ゼネコンの施工管理へ就職・転職したい
- 大手ゼネコン施工管理になるメリットって?
- 大手と他の施工管理を比較して仕事を決めたい
『施工王』は、不動産デベロッパーの中の人(管理人)が同僚や自身の経験を元に建設業界のリアルを発信するブログです。
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施工管理の仕事内容・実態
施工管理の仕事はどんなものなのか?まずは大手・中小を問わずに一般的な施工管理の仕事内容や就業状況の実態について解説します。
そもそも施工管理の仕事とは?
施工管理の仕事は、ただの「ものづくり」ではありません。
施工管理の仕事は「プロジェクトマネジメント」です。
※プロジェクトマネジメントとは、納期が決まっているプロジェクトを、スケジュール・コスト・品質・人材などの視点で計画を立てて、進捗をコントロールしていくこと。
つまり、計画の立案と進捗の管理を行うのが施工管理の仕事の本質です。
具体的には以下のような業務があります。
- 工程表の作成(スケジュール)
- 施工図の作図・チェック修正
- 専門業者への発注
- 現場の安全設備の整備
- など
これらは一般的に「四大管理」と言われ、「工程管理・品質管理・原価管理・安全管理」と分類されています。
この「四大管理」はどの会社のどの施工管理も必ず行う業務です。
つまり、施工管理の仕事は現場の規模に関わらず、やることの本質は変わりません。
専門分野別の施工管理
また、施工管理は専門分野別に担当する工事が分かれています。
施工管理の専門分野は以下に分類されます。
施工管理の種類
- 建築施工管理
- 土木施工管理
- 造園施工管理
- 管工事施工管理
- 電気工事施工管理
- 電気通信工事施工管理
また、建物を建てるプロジェクトは以下のような工事に分かれていることが一般的です。
- 建築工事
- 電気設備工事
- 機械・衛生設備工事
- 外構工事
- など
それぞれの工事に対して、専門分野の施工管理が業務を担当します。
ただし、規模の小さい現場の場合は、元請(ゼネコン)の建築施工管理ひとりですべてを管理することも多いです。
施工管理の仕事の実態
施工管理の仕事量は非常に多いです。
他の職業と比較して、非常に多くの日数と時間を働いているのが施工管理。
これは大手ゼネコンでも中小ゼネコンでもハウスメーカーの施工管理でも同じです。
また、建設産業政策2017+10(こちらも国土交通省)では建設業の労働時間は他の産業より年間336時間も長いとしています。
また、JCU日建協2019年時短アンケートダイジェストによると、有給の日数も他の産業の1/2以下しか取得できていません。
年間の出勤日数のデータ(建設業における働き方改革:国土交通省)を見ると、建設業は他の産業と比較して年間29日も休日が少ないと公表しています。
つまり、建設業界全体として仕事にかける時間が長いので、大手に行っても中小に行っても、ハウスメーカーに行っても、施工管理がしている仕事の本質や残業・休日といったプライベートの時間はほぼ同じということです。
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施工管理の1日のスケジュール例
施工管理(主任クラス)の1日の業務スケジュール例をご紹介します。
7:00
事務所清掃・業務開始
8:00
朝礼・現場巡回と指示
9:30
業者打ち合わせ(施工計画・図面ほか)
12:00
昼食・メールチェック・手配確認・打ち合わせほか
13:00
昼礼・現場巡回と指示
14:00
各種工事検査(例:配筋検査など)
16:00
設計打ち合わせ
19:00
現場状況確認(係員より報告・連絡ほか)
19:30
社内打ち合わせ・予算計画ほか
20:30
工程計画・図面チェックほか
22:30
終業
大手も中小も施工管理であれば1日のスケジュールは大きく変わりません。
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大手ゼネコンの施工管理の特徴
では大手ゼネコンの施工管理は他と何が違うのか?
ここでは、大手ゼネコンが他と異なる特徴について解説します。
大手ゼネコン施工管理の特徴①大規模物件に関われる
大手ゼネコンの一番の特徴としては、受注する物件の規模が他のゼネコンと比較して大きい点です。
建設業界の仕事は大小様々で、新築でも3000万の規模から300億といった規模まで、幅広くプロジェクトがあります。
その中でも、大手ゼネコンは50億100億といった、大型のプロジェクトを担うことが多いです。
それは、大手ゼネコンには社員数、資金力、技術力、ブランド力があるためで、中小ゼネコンでは受注できるだけの条件が揃わず、大型の物件を受注することは難しいです。
大手ゼネコン施工管理の特徴②大規模だから担当できる仕事は一部
大手ゼネコンの施工管理の業務はPJの中の一部です。
プロジェクトは規模が大きければ大きいほど業務は分業されていきます。
例えば、
- 鉄筋・型枠工事担当
- 仮設工事担当
- 内装工事担当
- 工区担当
- 施工図スタッフ
- 事務員など
100億程の物件となれば、1つの工種だけでも1億を超える金額になります。
大手の施工管理ほど、業務の範囲は限られてチームの一員として働くことになり、個人の裁量は小さくなります。
大手ゼネコン施工管理の特徴③年収は高い
大手ゼネコン施工管理の年収は非常に高いです。
上場企業の平均年収ランキングは以下
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
鹿島建設 | 1133万円 | 44.2歳 |
大気社 | 1075万円 | 43.6歳 |
大林組 | 1057万円 | 42.6歳 |
大成建設 | 1009万円 | 43.0歳 |
清水建設 | 1006万円 | 42.9歳 |
奥村組 | 951万円 | 42.8歳 |
東急建設 | 944万円 | 45.6歳 |
長谷工コーポレーション | 939万円 | 41.6歳 |
前田建設工業 | 927万円 | 43.1歳 |
ダイダン | 924万円 | 42.7歳 |
大手ゼネコン施工管理の特徴④勤務地は全国・海外
大手ゼネコンに勤める施工管理は全国各地や海外で業務を行うことになります。
例えば土木施工管理で、ダムや橋梁の建設を担う場合、都心から離れた地方での勤務となります。
大型のプロジェクトですので、2年や3年ほど現場の近くに住むことになり、長期休暇時だけ帰郷する。というようなこともあります。
建築に関しては土木工事と比較すると都心の職場が多いです。
特に大手の場合は大規模プロジェクトが多いため、駅前再開発や公共事業の大規模施設などの主要都市の勤務となります。
また、日本だけでなく海外でも建設工事を行っているので、海外配属になる可能性は十分にあります。
大手ゼネコン施工管理の特徴⑤転職して行く人は少ない
大手ゼネコンに勤める施工管理は多くの人が社内に残ります。
※就職してすぐに辞めていく人も多いです。
その理由は以下。
- 募集求人よりも年収が高い
- 転職活動をするタイミングがない
- 仕事に誇りを持っている
とにかく大手ゼネコンの施工管理は年収が高いので、転職しようにもほとんどが年収ダウンになります。
そのため、転職したいと求人を探しても始めても、採用年収を見て思い止まる人が多いです。
また、「仕事が忙しくなかなか転職活動をする時間が取れない。」「現場を途中で抜けられないから転職のタイミングがない」という理由の人も多いです。
会社に残っていても十分な年収とキャリアを積めることを考えると、大手のゼネコンで施工管理に就くことは経済的メリットが大きいと考えて良いでしょう。
また、建設業界全体としても、新型コロナウィルスや東京オリンピック特需が終わり、各社の業績は一時的に減少しましたが、2021年以降も好況を維持していくと見られているため、大手ゼネコンでは長期のキャリア形成も望めます。
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大手と中小・ハウスメーカーの施工管理との違い
では中小ゼネコンやハウスメーカーの施工管理は大手ゼネコンの施工管理と何が違うのでしょうか?
それは、以下の3つです。
- 年収
- 担当業務
- キャリア
- 退職金
それぞれ解説します。
①年収
企業の規模で最も影響が大きいのが、年収です。
中小ゼネコンやハウスメーカーの施工管理の場合、大手ゼネコンの施工管理の年収より30%〜50%ほど低いです。
大手ゼネコンの場合、所長クラスで年収1000万円超え、主任クラスでも700万円~900万円です。
これに対し、中小ゼネコンの場合、所長クラスでも700万円、主任や係員クラスだと350万円〜500万円ほどがボリュームゾーンと言われます。
また、ハウスメーカーの場合は450〜600万円がボリュームゾーンです。
②担当業務
中小ゼネコンの場合、担当業務はPJ全体になります。
工種別に分かれるようなことはあまりありません。
すべての業務(施主対応も含めて)を自身で管理することになるため非常に忙しいですが、プロジェクトの全体を自身で差配できるため、学びは非常に多いです。
ハウスメーカーの施工管理の場合は、一度に5件〜15件ほどの物件を担当します。
10件近く現場を持つと、それぞれの工事の確認などはできません。
まずは各物件を並行して工期内で完了させる、マルチタスクの段取りが業務の主になります。
③キャリア
中小ゼネコンの施工管理の場合は大手と異なり、転職でキャリアアップを図ることが通常です。
その理由は、中小ゼネコンにい続けるよりも転職した方がメリットが大きいからです。
施工管理は転職市場でも需要が高く、年収アップはしやすい職種です。
例えば、中小ゼネコンの施工管理出身でもデベロッパーへの転職は可能ですし、今後伸びる市場と予想されるTech業界も現場経験者の需要が高いです。
ハウスメーカーの場合も、転職をベースにキャリアを積む人が増えています。
その理由は住宅市場の縮小です。
人口減少に伴って、住宅需要は今後縮小することになりますから、将来を見越して非住宅系の施工管理へキャリアチェンジしています。
施工管理の経験を活かしての転職は念頭に入れておいたほうが良いでしょう。
④退職金
最後に見落としがちなのが退職金です。
中小ゼネコンの場合、退職金が非常に少なく設定されている場合があります。
例えば私のいたゼネコンでは、25年ほど勤めて定年した方の退職金が600万円でした。
一般的に建設業で30年働いた退職金は1000万〜1500万です。
退職金は基本給をベースに計算される企業が多いため、一度ご自身の会社の退職金規定と基本給について確認してみてください。
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大手・中小・ハウスメーカーの施工管理のメリット・デメリット
まとめると、大手・中小・ハウスメーカーのそれぞれで施工管理を行う場合のメリット・デメリットは以下のようになります。
メリット | デメリット | |
大手ゼネコン |
・年収は800~1200万円 ・大規模物件に携われる ・技術力が高まる |
・業務はPJの一部 ・PJの裁量は小さい |
中小ゼネコン |
・業務はPJの全体 ・PJの裁量が大きい ・マネジメント力が高まる |
・年収は500~700万円 ・退職金は注意が必要 |
ハウスメーカー |
・PJの裁量が大きい ・段取り力が高まる |
・年収は400~600万円 ・技術力は高まりにくい |
以上のメリット・デメリットを確認した上で、どこで施工管理を行うか選択をしてみてください。
まとめ:大手ゼネコンの施工管理の仕事の特徴
この記事の内容を要約します。
この記事の要約
- 施工管理の業務の本質は大手も中小も変わらない
- 施工管理の就業環境も変わらない
- 大手ゼネコンの特徴は高年収や業務分担
- 中小・ハウスメーカーとの違いは年収・キャリアなど
結論として、経済的にゆとりをもてるのはやはり大手です。
ただ、裁量の大きさは小さく、自分で主体的にPJを動かしたい人には向かない傾向があります。
建設工事の全体を理解して、マネジメント力を成長させたい場合は中小ゼネコンの方が向いているでしょう。
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