施工管理の転職ノウハウ

施工管理は働き方改革で変われるのか?キャリア13年のプロが解説

施工管理は働き方改革で変われるか

施工管理は本当に働き方改革で変わっていく?

このまま施工管理を続けてても大丈夫なの?

そんな悩みにお答えします。

 

 

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管理人の経歴

よこ

  • 建設・不動産業界で約12年のキャリア
  • 不動産ディベロッパー建築部門主任
  • 転職3回(元職人・元ゼネコン所長)
  • 一級建築士・一級建築施工管理・宅建士ほか

私も施工管理をしていましたが、業務量は本当に膨大ですよね。

 

誰が見ても、とても一人でこなす量ではない。

 

建設業も早く変わるべきですが、残念ながら施工管理は昨今の働き方改革では変わらないと思っています。

 

そして現役の施工管理の方々も働き方改革では建設業界は変わらないと感じています

施工管理の週休2日はいつごろ実現するか?というアンケートに対し、回答は約50%が”実現は2030年以降”、もしくは”実現しない”と回答しています。

施工管理に聞いた|作業所の週休2日はいつごろ実現するか(JCU日建協の2019年時短アンケートダイジェストより)

 

この原因は、建設業の発注の仕組み、建設業の慣習があるからです。

 

施工管理の働き方改革が進まない理由を知れば、きっとあなたの人生を考えなおすきっかけになるはず。

 

5分ほどで読めるので、ぜひこの記事を読んでキャリアの参考にしてみて下さい。

 

この記事のポイント

  • 施工管理は30年前から変わっていない
  • 働き方改革では施工管理の激務は改善されない

 

こんな方におすすめ

  • 働き方改革で建設業も変われるのか気になる方
  • このまま施工管理を続けていくのが不安な方

 

施工王は、不動産デベロッパーの中の人(管理人)が同僚や自身の経験を元に建設業界のリアルを発信するブログです。

 

 

 

 

施工管理に働き方改革が入る余地はない

施工管理は業務量が異常に多い職種です。

 

これは勤めている年次は関係ありません。

 

係員でも主任でも所長でも、役割は違えど異常なのは同じです。

 

国交省も、建設業の年間労働時間は全産業より336時間(42日間分)も多いと公表しています。(建設業における働き方改革

建設業の年間労働時間

 

この膨大な業務量に加えて、職人や第三者の命を預かる重い責任がありますよね。

 

まったく働き方改革の入る余地なんて現実にはないんです。

参考はこちら↓

参考建設業は終わってる?6つの理由と将来性と辞めるタイミング|元所長が解説

建設業に未来はない?終わってる6つの理由と辞めるタイミング|元所長が解説

続きを見る

 

ちなみにですが、過去の私の業務内容とスケジュールもご紹介します。

 

業務内容

一人現場の所長で合同事務所だったので、一人でやることは多岐に渡りました。

 

4大管理に加えて顧客管理も含めた5大管理ですね。

 

細かく書き出したらキリがないので大枠だけ記載してみます。

施工管理の業務例

  • 工程調整
  • 業者選定
  • 予算調整
  • 設計打合せ
  • 図面変更
  • 所管庁申請関係
  • 施工計画
  • 施工図作図
  • 検査資料作成
  • 各種現場品質検査
  • 竣工後保管資料管理
  • 現場安全対策
  • 施主対応
  • 現場段取り・墨出し・雑作業
  • 社内会議
  • 社内報告資料
  • 合同事務所内業務

ざっと上げただけでもこれくらいはあります。

 

これらを毎日マルチタスクでこなす必要があるのが施工管理です。

 

業務スケジュール

step
1
5:45 起床

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2
7:00 始業

主にメール処理と社内事務処理と事務所清掃。当日の安全日誌の確認。

場合によっては現場で職人と朝礼前事前打ち合わせ。

step
3
8:00~9:00 朝礼、現場巡回、職人個別指示

始業状況の確認と現場が1日回るよう段取り

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4
9:00~ 施主定例準備

定例に使用するサンプルや模型の用意、ディスプレイや飲み物、おしぼりなどの段取り

step
5
10:00~12:00 施主定例

お客様への報告ともの決め、要望の確認等

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6
12:00~ 確認連絡他

現場確認(電話)、議事録作成、翌日の手配ものの確認連絡、安全日誌作成、配筋検査資料用意

昼食の時間はないので仕事をしながら何かを食べます

step
7
昼礼、現場巡回、職人個別指示

昼以降現場が回るように各所で段取り

step
8
13:30~ 翌日以降の段取り、手配連絡

天候・現場進捗・社内検査などを鑑みて段取り。これをミスすると自分で雑用をすることになる

step
9
14:30~ 配筋検査(自主)

今の時代配筋検査もミリ単位です。(全数)

step
10
16:30~ 現場巡回

作業が予定通り完了しているか、求めている品質まで施工されているかの確認、是正指示

step
11
18:00~22:30 請求書処理(出面、出来高、相殺項目整理)、ネゴ、原価台帳、予算計画修正

夕食も時間はないので仕事をしながら何かを食べます。

step
12
22:30 現場作業終了、現場確認、戸締り

夜のうちに飛散・倒壊事故やクレーム、盗難がないよう厳重に戸締り

step
13
22:30~23:00 休憩・仮眠

step
14
23:00~2:00 施工図修正

レッドブルとコーヒーとタバコがお供。

step
15
2:00 就寝

事務所の床に寝袋で寝ます。

 

 

施工管理は30年前から変わっていない

では上記の業務は30年前にあった業務なのか、無かった業務なのか。

 

想像しても分かる通り、どの業務も昔からある業務で、施工管理の仕事は変わっていません。

 

当時は建設ラッシュ、突貫工事も当たり前のようにあり、また現場のスピードも今より断然に早かったようです。

 

それは品質という大きな犠牲を払っていたかもしれません。

 

よこてん
しかしCADもPCも携帯電話もろくに使っていない環境で、今と同じ業務を行っていたのは色々と驚きです。

 

社会は変わっても建設業は変わっていない

30年前の社会と今の社会はまるで別世界のように変わっています。

 

しかし建設業の就業状況は驚くほど変わっていません。

 

誰もまともな時間に帰れない

 

今では当たり前にプリンターがあり、PCで書類をまとめ、CADで図面を書き、写真もデジタルで管理をしています。

 

昔は青焼きで図面を刷っていましたし、施工図も手書きだったことを考えると、現在の業務効率化は目覚ましいはずです。

 

にも関わらず、施工管理の生活は未だに他の業界に比べて異常です

 

ちなみに建設業の残業理由のアンケートでも、現役の施工管理は以下のように回答しています。

  • 「社内書類の業務が多い」40%
  • 「発注者書類の業務が多い」40%
  • 「事務仕事以外も業務量が多い」25%以上

施工管理の残業理由(JCU日建協の2019年時短アンケートダイジェストより)

 

大きな原因は、求められる品質と保証が業務量の増加を招いていると思われますが、これは今後も増えることはあっても減ることはないと思います。

 

施工管理と働き方改革

30年も前から変わらない施工管理は昨今の働き方改革で本当に改善されていくのか? 

 

よこてん
私はあまり期待をしていません。

 

働き方改革では施工管理は変われない

働き方改革では施工管理の生活は改善されないでしょう。

 

私が施工管理をしていた時にも働き方改革の波はやってきましたが、そこで言われたのは、

  • 残業は全てつけろ」
  • 「残業を極力減らせ」
  • 「ただし業務量は減らすな」
  • 「そして人員は増えない」

というもの。

 

これでは実態は何も変わりませんでした。むしろ悪化している

 

よこてん
みなさんの会社も似たり寄ったりではないでしょうか?

 

\ 働き方改革は何がダメ? /

参考働き方改革でサービス残業は増加|建設業の残業上限と対策法

 

日建協アンケートでも

  • 会社や上司から仕事の状況を考慮しない時短の指示がある。33.1%
  • 勤務時間の申告に自主規制の圧力がある。27%
  • 仕事が終わらずサービス残業をいている。25%

と、残業を付けられない状況があることを明らかにしています。

 

建設業の残業に対する会社からの圧力ほか(JCU日建協の2019年時短アンケートダイジェストより)

 

施工管理が働き方改革で変われない理由

施工管理の働き方改革がまともに機能しないのには理由があります。

 

それは以下の理由です。

 

施工管理が働き方改革で変われない理由

  1. 工事発注の仕組み
  2. 建設業の慣習
  3. 建設需要の冷え込み

それぞれひとつずつ説明します。

 

工事発注の主な仕組み

発注者→元請け(競争)→下請け→孫請け

 

という仕組みの中で、発注者→元請けの仕事の取り方が施工管理の休みを無くします

 

まず、発注者は”なるべく安く”、”なるべく短く”発注をしたいです。

 

元請けは競合に負けないよう、”価格”と”工期”で競争します。

 

すると請負は安くなり、工期は短くなり、現場で働く施工管理や職人に負荷のかかる工事になるのです。

 

「施工管理の労働時間短縮には何が必要か?」というアンケートでは、「発注者による適正工期の設定」との回答が58%と突出して多いです。

施工管理の労働時間の短縮に必要なもの(JCU日建協の2019年時短アンケートダイジェストより)

 

建設業の慣習

さらに悪いことに、建設業の慣習が働き方改革を阻害します。

 

これまで建設業は36協定がなく、週休は1日でした。これをなかなか変えられないのです。

 

今でも建設業で土日休みの現場はほとんどないです。

 

週休2日を取れている現場は全体の1割以下"という結果が出ています。

国交省「建設産業政策2017+10」より

施工管理の休みの実態

 

これは職人が日当制の給与であることも関係します。

 

現場が閉所となってしまうと日当で稼ぐ職人は収入が減ります。

 

するとその現場には入りたがりません。

 

かといって、休みの分も含めた金額で下請けに発注出来る予算も元請けにはありません。

 

結局職人が来てくれないと現場は進みませんし終わりません。

 

ですから現場はこれまで通り土曜も祝日も動かざるを得ないのです。

 

建設需要の冷え込み

今後5年以降は建設需要も冷え込んで、請ける仕事がさらに安く短くなると思います。

 

2019年までは東京オリンピックパラリンピックの特需で材料も労務も単価が上がって、ゼネコンも無理なコストと工期では契約しなくなっていました。

 

それは発注者も理解していたので、発注者はコストは高めに、工期も長めに発注していました。

 

つまりこれまでの建設業はゼネコンが強い「買い手市場」だったのです。

 

しかしこのピークは実は2018年で終了しています

 

参考【新型コロナウィルス】建設業界ではボーナスカット?!リーマン並の不景気も

 

大手5社ゼネコンの営業利益率の推移は、

  • 8.7%(2018年期)
  • 7.7%(2019年期)
  • 7.5%(2020年期)

と2020年では完全にピークアウトしています。

https://n-seikei.jp/2020/06/post-67547.html より

 

特需が終わった建設業は、発注量も減り、発注者は安く短く発注をします。

 

加えて新型コロナウィルスの影響で景気はさらに悪化

 

つまり発注側が強い「売り手市場」になっています。

 

仕事を取りたいゼネコンは”価格”と”工期”で競争をします。

 

これらが原因となって、施工管理の働き方改革は進まないのです。

 

 

働き方改革が進まない施工管理のキャリア

では働き方改革が進まない施工管理は絶対にダメかというとそうでもないと思っています。

 

しっかり戦略を練ってキャリアを積むことで、施工管理の異常な生活からステップアップしていくことは可能です。

 

よこてん
施工管理の転職先は意外と幅広いです。

 

施工管理におすすめの転職先【厳選4選】ココなら年収下げずに残業減らせる!をご参考にどうぞ。

 

アンケートでも転職をしたい施工管理は多く、5人に1人「今すぐ転職したい・今現在転職を考えている」と回答しています。

今の会社でいつまで働きたいか

そこで、施工管理としてキャリアを積んでいくなら、私の考えは以下の2つです。

 

  1. 技術革新時代に対応した技術者になるか
  2. マネジメント力豊富な管理者になるか

 

参考記事はこちら

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建設業は働き方改革で変わるのか?|まとめ

いかがでしょうか?

 

施工管理は働き方改革では変われません。

 

是非自分の人生を見つめ直して、キャリアを考えるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。

 

参考【第二新卒におすすめ】転職エージェントの選び方・使い方のコツ

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